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■あれは8年ほど前のことだった。「バックグラウンドミュージックにいいよ」 と、友人S君がグエルの事務所に持ってきてくれたCD。モノクロのそっけないパッケージだ。「エンヤ/アイルランドの風」という邦題がついていた。
■最初の曲は、映画「フラッシュ・ダンス」のテーマ曲に似て少しポップな感じが嫌らしい気がしたが、それ以外はみなどこかで聴いたことがあるような、ないような、懐かしい郷愁を感じさせるサウンドばかりだった。
■これは歌姫エンヤのデビューアルバムの日本版。その原題が「The Celts」と呼ばれるもので、すでに2枚目のアルバム「Watermark」が1988年の英国ヒットチャートを席捲し、3枚目のアルバム「Shepherd
Moons」も広く受け入れられていたことを、当時は全く知らなかった。
■S君とはそれから一年ほどたったとき、ゆえあって袂を分かつことになり、このCDも彼とともにグエルから消えた。ただ、モノクロのパッケージだけは残った。
■しばらくして、レコード屋に行き、同じアルバムを購入した。しかし、あのモノクロのパッケージでなく、原題を冠した赤茶けたパッケージしか店頭にはなかった。
■空のパッケージは今もCDの棚に並んでいる。
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