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■西麻布という街は何か変だ。通りをひとつ渡ると、人の背丈が伸縮し歩き方が変わる。空気の色も塗り変わる。
■カラスが飛び交う霊園を下っていくと、バラック建てのラーメン屋から地下足袋にゲートル姿のとび職人が出てくるのが目に入る。そのそばをスモークガラスの大型ベンツが次々と走り去っていく。道路越しには、米軍宿舎を警備する警官たちが巡回し、躾の行き届いた犬が主人に連れられ散歩三昧か。目を上げると、駅ビルとなる高層マンションが建築中だ。歩き煙草で昔ながらの商店街をかっぽする、いかにもテレビ局にぶら下がっていると思われる人種たち。原稿のネタを考えながら昼間から特に目的もなく散歩する目つきの悪いオヤジもいる。オレのことか。
■コロコロとゆがむ空気に酔ってしまったのか、渋谷へ向かう首都高速を頼りに青山霊園まで戻り、やっとの思いで帰宅する。
■西麻布には毒気がある。毒気の主たちが呼んでいるのかもしれない。

●建築中のビルをかすめる高速道路を上に見て渋谷方面へ逃げる●
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