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2002年5月8日(水) 月末までの計画を練る/ひさびさの観劇


●影の色あいを再現する銀塩フィルム●

■汗ばむような一日だった。午後は外出して芝居観劇、夜は屋根を打つ雨音を聞きながら早々に就寝す。仕事は? 深夜に起き出して執筆。

■佐々木蔵之介は役者だ。彼が出演する舞台は欠かさない。メーリングリストで舞台情報を入手し、インターネットで予約する。小西真奈美松たか子、山崎努、三谷幸喜、つかこうへい、といったキーワードに引っかかった公演情報が、メーリングリストで自動的に送付されてくる。なんと便利な時代になったことか。仕事の合間にチケット予約が簡単に割り込む。公演当日は朝からそわそわしてしまう。幸か不幸か、劇場は徒歩ででも行き来できる場合がほとんど。なんと有難い環境なことか。

■表参道から「渋谷パルコ劇場」までは目と鼻の先。出が遅れてしかたなくタクシーを飛ばすも、渋滞激しく牛歩のごとし。観念する。 ■仕方なく話しかけた運転手とカメラ談義で大いに盛り上がってしまった。タクシー運転手は仮の姿で、実はスポーツカメラマンだったのだ。最近ではデジタルカメラを愛用しており、ゴールデンウィーク中は、バスケットボールの試合を撮影したが、5000ショットほどシャッターを切ったという。■いろいろと質問をしているうちに、タクシーはパルコ前の交差点に停車した。開演時間の午後2時ちょうどだった。降りるとき、「ホラッ!」とキャンディをひとつかみ手渡された。■9Fにある劇場へ滑り込んだときは、開演時間を過ぎていた。幸いなことに開演も少し遅れていた。「お客様、ご案内しますので急いでください」と係員に先導されて席に着くと、すぐに場内は暗転し、「おやすみの前に」が開演した。

■劇は途中15分の中休みをはさみ、午後5時過ぎに終了。バランスのよい仕上がりで、粗も少なく安心して最後まで楽しめた。■脚本は福島三郎、演出は宮田慶子。注目の二人だ。役者たちとの息もピッタリ。演劇のエンディングには物足りなさを感じることが多いが、この芝居は違っていた。エピローグが1シーン入るかな、と期待する観客もいたようだが、納得の結末。筋立てと演出、役者たちの熱演に大きな拍手を送ることができた。■冗長で陳腐に聞こえてもおかしくない台詞もあったが、作・演出・演技者がかみ合った芝居だと、自然に受け入れてしまうから不思議だ。■主演の宮本信子は素晴らしい。声がいい。落ち着いた物腰で仕草もかわいらしい。こんなにいい役者だと知らなかった。■川原亜矢子の演技も悪くなかった。舞台初挑戦を感じさせない熱演。モデル出身のプロポーションは圧倒的に目立つが、艶やかな肌も際立っていた。美しさは力なり。■岡田義徳と宮地雅子も達者だったが、二瓶鮫一という役者は格がひとつもふたつも上という感じ。バンドのベースマンのような存在感があった。■なんと言っても、ごひいきにしている佐々木蔵之介の演技は際立っていた。器用に大胆に役造りをする。やはり、よかった。

■公演が終わってもまだ外は明るかった。渋谷パルコから坂を下り山手線ガードレールを潜り抜けると、左右に走る明治通りの交差点に出る。交差点を境に小さな公園が左右に細長く広がっている。明治通りと山手線に挟まれた宮下公園だ。■交差点から右側、渋谷駅方面に目をやると人だかりがしている。映画の撮影でもやっているのだろう。歩道橋にはこちらに背を向けたままの野次馬たちが見える。交差点でなく歩道橋を渡ることにした。階段を登りきったすぐ横に撮影用カメラが設置され、監督がスタッフたちに指示をだしていた。■「本番いきま〜す!」という監督の声に、歩道橋の群集たちも一斉に静まる。「ヨーイ、アクション!」という声とともに、カメラが回る音が聞こえ、渋谷方面の歩道から役者が大きな叫び声を上げるのが聞えてきた。ほんの1分ほどで「カアアット!」という声。役者がこちらに歩いてくる。■と、歩道橋に陣取っていた女子高生たちが一気に階段を駆け下りていく。スタッフにガードされた役者を遠巻きに野次馬たちも動いていく。役者に大声で何やら話しかける女子高生。■ロケバスに乗り込む直前に彼は立ち止まり、彼女たちに何やら声をかけた。歓声が上がり、飛び跳ねる女の子たち。窪塚洋介という俳優の横顔が見えた。

■宮下公園交差点から渋谷を背にして明治通りを歩くと原宿に出るが、散歩を楽しむなら旧渋谷川歩道に入るといい。歩道の入り口は宮下公園の交差点からほんの数十メートル先にある。通りから少し右に折れていく細い道が見えるはずだ。■明治通りとほぼ平行に歩くことになるが、もともとが川だったところだから、緩やかに蛇行している。細い道の両側には人家を改築した小さな専門店が並んでおり、デザインはアバンギャルド志向の若向けだが目新しく飽きない。■この歩道は表参道を突っ切って外苑西通り近くまで続いている。表参道に出ると、すぐ左に『キディーランド』、右に『カルチエ』が見える。左には原宿人、右には青山人たちが棲息するの世界。そのまったく異なる世界の境目にこの歩道が走っているのだ。■今日は表参道に出る直前、歩道の左側で見つけた家具店『hhstyle』をのぞいてみた。開店した頃から会員登録し、長いことメーリングリストをもらっていたのに来店してなかった店だ。置かれているものは、話題の家具ばかりで予想どおり。店員の対応もいまいちで少し興ざめしたが、また来てみようと思った。■来店する客に対する店員の反応が鈍いのも、分からないではないからだ。原宿人たちにはなかなか手が出ない家具ばかりで、来店者が購入するケースは少ないのではないか。店舗や事務所にまとめて販売することが多いため、その事務処理に追われているようにみえた。

■渋谷川は新宿御苑にある池を源流とし、渋谷までは地下を流れ、渋谷駅東口で川となって現れて南下し、恵比寿あたりから東へ折れ、麻布近くの天現寺橋まで続く。そこからは名前が「古川」に変わり、麻布十番から赤羽橋、金杉橋を抜け、浜松町を通って東京湾へと流れ入る。名前が変わるのは、渋谷区から港区にまたがるためらしい。

■夜は、義母を連れて西麻布の串揚げ店『ねぎし』で会食。西麻布といっても、昔ながらの商店街にあるお店。値段設定も驚くほど安価だし、年齢を問わず気兼ねなく利用できる。■帰り際に店主が店の外まで出て見送ってくれたことに、義母はえらく感動していた。

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