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モノ造り日記
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2000年 3月 |
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■午前8時起床。白粥、佃煮、漬物。 ■とにかく書く。でも、書けないときはある。書くことが楽しくても書けないときは書けない。こんなに遅れたことはないなあ。情けないなあ。編集者の方々、ゴメンなさい。 ■最近、同じ業種の違う業者から少なくとも一日3件、同じような商品を売り込む電話が入る。 「インターネットに興味ありますか?」 電話を使ったキャッチセールスは私も社会勉強と半年ほどやったことがある。お邪魔虫あつかいをされる状況からきっかけをつかむのは至難の技だ。精神的にも鍛えられる。営業される側に立った最近では、つい営業トークを聞き入ってしまう。失礼で馬鹿で将来性なしという三拍子揃った相手に、今日出くわした。「営業トーク、一から勉強し直して電話して来い!」と、大声で怒鳴ったら、なぜかこっちがスッキリでサンキューのこころ。 ■午後5時、S電機様へ原稿を宅配便で送付。連載上がらないまま外出。う〜む。 ■午後6時、表参道“Den”にて日経クリック歓送迎会。私の担当だった茂木氏が移動するので出席。創刊以前から関わりがあった営業佐藤氏も移動。「日経CLICKというBP社で初めての市販誌は、佐藤氏が書いたA4一枚の企画書がきっかけだった」(鈴木編集長) 「斎野さんがプレゼンしたとき、取次から取締役まで居眠りしてた」(佐藤氏) 「俺は入社してこのかた4回だけ本気で怒鳴ったことがある。その3回はMで、あと1回はHだ」(W氏)。二人とも私の担当編集者だぞ。どこで水を得た魚となるかは神のみぞ知る。なんのこっちゃ。M氏は、できちゃった結婚をお披露目するハメに。もうヤンヤヤンヤの大騒ぎ。 ■午後8時、早めに引けたので、綺麗どころを引き連れて“リャン・シャン・ボー”で飲む。マッカランを薄く表面に滑らせたドライマティーニはどんな味だったんだろう? 「やっぱ、若い女はミニスカートに限るわよ」(S女史) 女が言う言葉かねえ。同感だけど。 「天才っちゅうのは自分のやりたいことを知ってるやつよ。Tは未完成だけど天才。Sは天才。Oは一生無理。WとKは天才の手前。秀才ほど勤勉でもスマートでもないし」 オイオイ、名指しでくるかい。 「書けなくなるのは、自分のカスにとらわれるから。書いてもダメなら、バッサリ捨てて書き直すやつでなきゃ先はない」 なかなか真に迫ってきたぞ。 「私の彼氏ってみんなO型なのよね」 私はA型だ。 「頭いいんだけど、間が悪いんだよね、あの人。ということはダメってことなのよ。“間”なのよ。“間”がいいと、すんなりいっちゃうんだけどなあ。読みやすい! ってことになるのよね」 男の話か仕事の話かはっきりしろい。キムチ焼きそばで痛くなったのか、カウンターの椅子が合わなかったのか、長く座りすぎたのか、とにかく、ケツのしまりが悪くなってきたのでバーを辞す。私はタクシーを飛ばして帰社し、午前1時まで原稿書いてダウン。呑み助とU嬢はいったいどこへ消えたのやら。 TOP↑ |
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3月2日(木) MdN猪俣氏と楽しい話 ■午前7時起床。熟睡快眠で朝から体は絶好調。 しかし気分は最悪。“忙しい”と連発する奴ほど暇な奴はいない。この二日、俺は口を開くのが億劫なくらい“忙しかった”。そのわけは? それを書くのは、心の底からいやだ。自分を買いかぶって迷惑をかけっぱなし。 ■大学というところに久しぶりに行った。驚いたことに、マノアから車で10分とかからない。午後2時。春休みで閑散とした校舎の陽だまりに立ち、暖を取りながら待つ。暖房が効かない吹き抜けのデザイン室に入り、熱い珈琲を5人ですする。感動に?震えながら打ち合わせる。MdN猪俣氏、吉田氏、多摩美大の村嶋氏、グエルの鈴木と川口。少し長めの50分。5分は余分。ほんのわずかでも間延びする。しかし心は熱く気分よく帰社。翻訳をS氏に引き継ぐ。 ■書くという行為をしゃべり過ぎた昨日のバーが恨めしい。仕事で編集者を二人同時に待たせてなんとする。日経PC21「実践 使えるホームページ」連載記事1本と、Windows Tips集を1本をやっと書き終える。午後9時にやっと一段落。分刻みで追われたのは久しぶり。ドッチの料理ショーも久しぶり。バラ肉かけご飯が大逆転で勝利。でも、最後しか見れず嬉しさ半減。前戯が短すぎるといけない。最近、表現に品がない。午前1時就寝。 TOP↑ |
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3月3日(金) 暖かな雛祭り(晴れ)
■朝、米を炊く。炊きたてご飯に卵かけ、なんて物凄い贅沢をした気分である。おひつに移す前のちょっと湿り気の多いところがまたいい。大根の味噌汁でワシワシと喰らう。昼は抜き、夜はタイカレー。チキンのイエローカレーだ。ピリ辛好きにはレッドカレーもいいだろう。レトルトだが本場モノ。この癖の少ないチキンカレーは、これまで試した中でNo.1! アライドコーポレーションという会社が輸入販売元。明治屋でゲットしたが値段は覚えていない。オススメだが、タイカレーに慣れた人には、ちょっと物足りないかもしれない。まあ、そんな人は自分で食材を買ってきて作るのでしょう。でも、コレお手軽で旨いよ。 ■「最新の内容は冒頭に書け」というメールあり。日付を逆にして最新の「モノつくり日記」を書くことに変更した。売値と折り合いがつかないまま車検に出した車が今日戻ってきた。オフィスの移転先もまだ決めきれない。4月まではモノつくりに時間を割くべきと判断。半月ほど前に、大切な方から仕事を依頼されたにもかかわらず、お受けできなかったのは、それまでの仕事をスケジュールどおりに進行できていないからだった。後悔している。無理して動くべきときではないようだ。 ■何度も何度も空焚きしてイジメてしまったヤカンが水漏れし始めた。熱効率をよくするため、底には同心円状のくぼみが4つに入っているのだが、その境目に亀裂が入ったらしい。人間に例えるなら「疲労骨折」を起こしたのだ。いや、人為的な「骨粗しょう症」というべきだろう。よく空焚きされよく磨かれた、歴戦のツワモノであった。10年前に会社を興したときに購入したもので、いわば戦友であった。すまない。俺が悪かった。冥福を祈る。 ■深夜、寝不足で朦朧としながらも友人と長電話。午前3時就寝。 TOP↑ |
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3月4日(土) ミニ合宿の最中にプレステ2が殴りこみ(春雨)
■白状する。私はアナログ人間である。パソコンは大好きだが、どうしても紙と鉛筆がないと落ち着かないのだ。新聞、雑誌、書籍、メモ書き、付箋、システム手帳、スケッチブック、マーカー、鉛筆、万年筆、ライターとか。さわれるし、全体を見渡せるし、視界に変化がある。パソコン、プリンター、スキャナー、FDドライブ、CDドライブ、ルーター、デジタルカメラ、MO、CD、FD、CD-ROM……。覗き込むのはモニターばかり。その中では文字も画像も映像もまとめて扱えるし、検索やソートができてそれなりにエキサイティングだけど、まだまだ足かせをはめられたまま、という感覚が拭えない。触るのはキーボードばかりだし。たまには何かを手で握りたい。好きだけど生ナマしさが欲しくなる。というわけで…… ■こんなクソ忙しいのに、部屋を模様替えしてスッキリさせた。アナログかデジタルで部屋を分断。正面を向くとアナログ、右を向くとデジタルという具合に。これまでは仕事や遊びで、その必要に応じて2つの世界を使い分けてきた。でもここにきて、アナログ空間とデジタル空間という新しいグループ分けを基に動くとラクになる気がした。ただし、電話は携帯電話も含めてアナログの世界に入れた。 ■Windows Tips集の連載がこの3月で丸一年になった。最近は週に2本のペースで提出している。これまでに160本ほど書いてきたが、それはすべて私が日常使っているパソコン操作を小出しにしているに過ぎない。ということは、やっぱりパソコンとずいぶん遊んできたんだなあ、と妙に実感してしまう。ネタが役に立つかどうかは、人によって違う。職業別、用途別のパラメータもつけている。データベースソフトを使って書いているので、ソートしてみると、共通するものは意外と少ない。オタク向けのつまんないものもある。パソコンを自分のパートナーとして末永く使える基本的なネタもある。万人にとって必要なもの、特定の人にとって優先されるものを順に並べると、いったい何個くらいまで無理なく吸収できるのだろう? 「とっておきの21個」 てのはどうかな? ■午後から缶詰状態。もう後がないって感じ。泊り込みでお目付け役たちが来訪。書籍の執筆は順調に進み、夜はステーキを焼き皆で喰らう。ステーキはいい肉を仕入れて家で焼くのが一番である。一家に一人の料理上手。旨いことは幸せを呼び、食べすぎは睡魔を呼ぶ。プレステ2の発売を記念して、カーレースを2回だけやる(やりたかったし)。「Buena Vista Social Club」を聴きながら、なんとか眠気をかいくぐりノルマを果たす。 ■午前4時就寝。皆さん、お疲れ様でした。明日もがんばろう。 TOP↑ |
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3月5日(日) 曇り ■午前9時起床。少し寝不足だったが、思い立って首都高速から中央高速に入り、相模湖に住む甥っ子に「プレステ2」とソフトを何本か届ける。志望した高校にめでたく合格した彼は無類のゲーム好き。驚いた顔がかわいかった。義母を連れ出し遅いブランチを蕎麦屋で喰らい、世田谷に取って返す。整備された車は、ガランとすいた午前中の高速道路を軽やかなエンジン音で走り抜けてくれた。午後いちに帰社す。 ■十年ぶりにトレンチコートをはおる。二十年以上前、目一杯奮発して買ったカーキ色のバーバリーは、少し温もりかけてきたこの時期、小雨混じりの空によく似合う。いたるところがボロボロだが、トレンチの懐かしい肌触りが、春までの短い寒さしのぎに色を添えてくれることだろう。 ■書籍の執筆は遅々として進む。もうすぐスコーンと抜けそうだぞ、という予感がしてから、もう何日たつだろう? 辛いなあ。後がないので焦りもあるが、進まないときは発酵期間だと言い聞かせ、じっと辛抱して空が晴れるのを待つしかない。夜はオムレツを添えたレトルトカレーでご飯が終わり。 ■明日のために今夜は早めに寝ることにした。午前1時就寝。お疲れ様。 TOP↑ |
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3月6日(月) デジアナ共存、順調なスタート ■一枚のレシートを夕方、「明治屋」のレジで受け取ったとき、満ち足りた気持ちになったのは初めてだった。それはなぜだろう、と考えてみた。実は、その答えは、買物をしている最中に自覚症状があり、買物を楽しんでいたのだった。 ■一人暮らしを始めて半年が過ぎたが、合宿所で暮らす身の上としては、基本的に自炊生活をしている。食料品を調達するとき、不足した衣類や洗剤、陶器や電球、ヤカンやネギを購入するとき、昼間から坊主頭の中年男が一人、デパートをうろついて買物をする図式は、失業者か坊主か、でなければ堅気と縁のない人であったり、誰かのヒモに違いない、などと段々自意識過剰になっていくのである。買物に時間を割く余裕も実際なかったかもしれないが、正直な話、それ以上に人様の目が気になって、買物をさっさと済ませていたのである。 ■書斎をデジタル空間とアナログ空間とに分割し、アナログ・インターフェイスに浸る時間が多くなり、思考パターンが大きく変化した。半歩引いたところに、もう一人の自分が突然あらわれたのかもしれない。私は彼と会話を始め、自分の好みを彼と話合いながらイメージする。たった一日の出来事なので長続きするかはわからない。が、イメージを左右に振って、自分好みを絞り込んでいく頭の体操は、周囲からどう見られているかを忘れさせるくらいに楽しく面白い。子供にとっちゃ、当たり前なのだろうが、いろんなシガラミからその場で楽しむことを一度忘れてしまうと、なかなか元には戻れないのだ。 ■買物から帰ると風呂にゆったりとつかり、気持ちよく仕事を進めることができた。とにかくゆっくりやることにした。 TOP↑ |
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3月7日(火) 万年筆で書く ■Windows Tips集を6本仕上げて送付する。昨日も今日も、午前10時に起き出し、カフェオレとトーストで夕方まで仕事する。今週、打ち合わせはない。外出もなし。今週が執筆の山場。 ■ディスプレイを見つめていると、肝心なことを忘れてしまう気がして、今日は試しに手書きで原稿を書くことにした。ちょっとメモをとる、考えを書き留める、断片的に書き留めるという動きは、エディタでもできる。後から入れ替えたりするのがとても楽。しかし、久しぶりに万年筆で紙の上に書いてみると、文字の大きさや書く場所が自由で心地よかった。ペンを走らせる勢いも馬鹿にならない気がした。 ■下を向いて書くという姿勢も新鮮だった。紙をめくって書いたものを眺めていると、またアイデアが浮かんでくる。ペラペラとした薄い紙は、めくるとシャランと音をたてる。厚手のカードを繰っていくのもいい。 ■深夜、玄関先に置いてある20本入りビールケースから「一番絞り」を2本抜いてくる。冷やさなくてもそのままいけるくらい外気は冷えていた。 TOP↑ |
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3月8日(水) 一気呵成 ■ライティングマシンと化し、なんとなく過ぎてしまった一日だった。先は見えたが、先はまだ長いことに気がつく。ゆっくり考えたほうが速く進むことを実感した。 ■PC21の連載は向いていないのかもしれない。原稿に仕込んだ情報の精度が低いので、編集者がかなり手を入れて書き替えざるを得ない状態が続いているからだ。ピラミッド型の文章を書くことが苦痛なのかもしれない。単に頭の整理ができていないだけなのかもしれない。そういう意味では、私にとって素晴らしいリハビリになっている。しかし、編集者の負担が大きすぎる気がする。逆の見方をすると、著者と編集者が特徴を出し合って仕上がっているいい仕事と言えないこともないのだが…。 ■地下鉄日比谷線で脱線事故。軽量化したために車体がひ弱なのが問題だった、なんてコメントを言う評論家の無責任さに腹が立つ。万が一衝突したときのことを考えて、できるだけ後方車両に乗るのが確率論的に正しいなんて思っていたが、実際に遭遇する事実は有無を言わせない。運が悪いとしか言いようのない事故にあわれた方が気の毒でならない。 TOP↑ |
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3月9日(木) 三寒四温、また寒い日が続く ■午前二時起床。右往左往しながら頭を揺らす日々。なぜか楽しい。 ■恵比寿駅あたりで人身事故があったと聞いた。恵比寿、目黒方面が暗い。 ■明治屋で購入したレトルトのビーフシチューを暖め、スリーエフで買った9個入り二百円のバターロールを2個、オーブントースターで軽く焼いて食べる。にわかに食欲が出て、3個続けざまにガッツく。バターがなくならなかったら、全部食べたかもしれない。そう言えば、夜まで何も食べていなかった。疲れがどっと出て、久しぶりに夢の中に少年が飛び込んできた。 TOP↑ |
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3月10日(金) 今夜も冷える ■どうしても構成が気に入らなくなってしまった。今更遅いが、変えて書き直すことにした。 ■編集者と反りが会うかどうかは、執筆者が持っている運としか言いようがない。執筆者が読者にメッセージをより正確に伝えられるかは編集者の手腕によるところが大きい。執筆者は編集者によって生かされ、編集者も執筆者によって鍛えられ、そうやってできあがる文章を読者は待っている。「連載が向いていないのかもしれない」と先日ここに書いたら、走り高跳びでしなやかにバーを越えたメールが届いた。「お前は運だけで生きている」と、よく兄に言われる。私もそう思う。 ■「チョコチョコチップ」とかいうドイツ系アイスクリームを3個買ってきた。続けて食べるとやっぱり気持ちが悪くなる。買い置きは私に通用しない。 TOP↑ |
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3月11日(土) まだ寒い。ブッカーズ紅白戦欠場 ■早朝、NHKで道路情報と電車運行情報を毎日、何回かやる。ほとんど朝から出かけることがない私だが、交通情報センターから流れる淡々とした声が、朝がきたよ、と緊張感をあおり、自分も社会人の一人になった気がして、なんとなく好きな番組である。番組を見る時間帯が早いので、首都高速が渋滞していることはほとんどない。しかし、今朝は違っていた。霞が関、川口インター付近、目黒付近の三ヶ所で事故が発生し、渋滞を示す赤いラインが点在していた。そして、また目黒だ。JR目黒駅でまた人身事故が発生したらしい。恵比寿と目黒付近に邪悪ななにかが漂っているのか。今朝は冷える、心も冷える。交通情報は当分見ないことにした。 ■花粉症による微熱は本物の風邪らしい。週末になって気が抜けたのか、頭痛やら鼻水やら、しょうもない症状に悩まされる。忙しくてもなにはさて置き、皆でやる行事は外したくない。神宮の森では野球チーム“ブッカーズ”が今日、夕方から開幕戦。しかし、はせ参じることができず、新調した黒いグラブが泣いている。 ■夜はコーンスープ。牛乳で半分に薄めて暖める。4個残っていたバターロールをつけて喰らうと、そのままベッドで深夜まで眠る。目が覚めると、NHKで女性警視が活躍する英国TVドラマをやっていた。そのまま起き出す。このドラマを観るのは2回目。今夜は『第一容疑者』というタイトルだった。人の弱さと狡猾さと狂気を真正面から受けて立つ臭い感じは拭えないが、ピッと張り詰めた緊張感をエンディングまで持続させるスゴイ話だ。とっても疲れて面白い。景気づけにウィスキーをストレートで二杯あおり、軽く研いだ米をストーブにかけ、朝まで仕事する。頭痛は引いたが微熱はある。アルコールのせいかも…。 TOP↑ |
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3月12日(日) 苦しくて楽しいなんて ■一日中ベッドでうなる。マラソンランナー高橋尚子の走りに感動して起き出す。20キロ地点を過ぎたとき、もう記録的には無理だと思われた。しかし、23キロから驚異的なペースで最後まで走り抜き、ゴールを駆け抜けた。35キロを過ぎて、足はパンパンに張っていたはずだが、それでもスピードが落ちない。長距離を走ったことがある者ならわかるはずだ。足が動かなくなっても走らねばならないあの苦しさ。彼女も同じだったはず。目標が見えてきた人間には強さが産まれるというが、彼女の顔は楽しそうに少し上気し美しかった。スゴイ人だ。 ■寒くても、温めたミルクをコーンフレークにかけてはいけない。 ■夕方から“リーディング”と称する台本の読み合わせに誘われていたが、体調が優れず欠席する。脚本を役者・演出家・少数の観客で作り上げていく作業。作り上げていく過程に参加できる絶好にチャンスだったのだが、残念だった。深夜、女優のひとりから電話が入いるが、ディテールをたずねる気力が湧かなかった。体力のなさが気力を吸い上げている。「やれば終わる」という仕事モードに入っているからかもしれない。 ■目が覚めると『フェイス/オフ』をやっていた。WOWOWで放映される映画には、ジョン・トラボルタがよく出演する。やくざ、天使、子育てオヤジ、政治家… 肉付きがよくなったトラボルタはいい味出してる。役者はここまで変貌するものか。大嫌いだった落差が、そのまま大好き度に転がり込んでしまった。ダンスを習い始めたのも、実はトラボルタになりたい願望があるからなのだ。 TOP↑ |
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3月13日(月) ポカポカ陽気も昼間だけ。強風の夜 ■日記を読み直していると、自分の嫌らしさを垣間見ることがある。たとえば… ウトウトしてたら、好きでもない男に寂しいってだけで引っかかっちまって、 ヒドイものだ。「馬鹿な女」という言い方はないだろう。自分で書いたものに不愉快になってしまったくらいだから、どこかできっと誰かを不愉快な気持ちにさせてしまっていたに違いない。いまさら遅いかもしれないが、2月2日の文章を次のように書き直しておいた。 ウトウトしてたら、好きでもない男に寂しいってだけで引っかかっちまって、 文章を書くことを仕事としている人間として、本当に恥ずかしい。あんな文章が一人歩きをしていたかと思うと、ゾッとした。もう少し丁寧に書かなければならない。 ■昼間、突然の呼び出しがあって、狛江まで走る。20分ほどで着く。名古屋から従兄弟の娘と母親がやってきた。東京の専門学校に2年間通学するから、よろしく頼むという。豪快な母親と三人で賑やかに昼食をとる。仕事への集中力はバッサリと切り落とされたが、素晴らしい気分転換だった。 ■夜、早い時間に眠くなり、深夜に起き出すというパターン。数日続いている。起きがけにクシャミ10連発。花粉症はわずらわしいが、春がもうすぐやってくる期待感の方がずっと大きい。体調は戻ったようだ。 TOP↑ |
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3月14日(火) 朝は晴れ、夕方から雨 ■それほど気に止めなかったことが、時間が経つにつれ、雪だるまのように膨れ上がっていくことってないかな? 先日観た映画のこと。メールをチェックしていたら、雪だるまが転がり始めてしまった。『第一容疑者』のシリーズ。先週金曜日(3月11日)の深夜(25:30〜27:15)NHK総合テレビで放映された「死者の香水」編も絶品だった。心をえぐるようなブリティッシュ・ジョークもいい。主役ヘレン・ミレン。このシリーズを観たのは、これが2回目だったが、以前にも放映されたのだろうか? これから放映する予定はないのだろうか? NHKがHPに提供している内容だけでは不明。娯楽性は高くないし、100分以上ある。ゴールデンタイムに放映しろなんて贅沢は言わない。でなきゃ、ビデオでも探すか… ■体が鈍ると、狭い書斎の隅にころがっているダンベルを握る。 2個とも3キログラムと軽量だ。両手に持ち、手首、腕、肩、胸、背中、腹の順に筋肉を伸縮させる。椅子に座ったままやることが多い。まっとうな我流だが、年季だけはかなり長い。座ったままの姿勢で生活観のない重さを両手に持つと、バランスが崩れた節目をつなぎ合わせようと、体中の腱や筋肉がいっせいに騒ぎ出す。背が自然と伸びて、呼吸を深く、ゆっくりと繰り返し始める。スッキリしまっせ。視力も気力も少し戻る。どうせガタついた体だし、まっとうな体操なんてかったるい。異物を放り込んで体に解決させる負荷療法が向いている。そういう体質なのだ。だから、タバコもその療法の一貫であり、やめることはできない。なんて、屁理屈千里を走る、ってか。 ■深夜二時頃に平然と電話をかけてくる人たちがいる。 今日は気分が悪かったので、つっけんどんな扱いをする。新事務所候補として理想的と思われる物件にやっとめぐり会えたのに、タッチの差で逃してしまい、ショックで話をする気がしなかったのだ。原稿もせいてるし。悪く思うな。申し込みが30分遅かったからだというのだが、本当のところは違う気がする。借り手は財閥系大手企業の社員さんらしい。私が大家であれば、分けのわからん仕事をしてる奴より、素性のいいほうを選ぶ。ま、縁が無かったということで、諦めましょ。 TOP↑ |
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3月15日(水) 原稿半分、締め切りなのだが… ■……鉛筆を削る。
木に登り、握りのいい真っ直ぐな枝を30センチほど切り落とす。枝には硬い芯がある。表皮も硬い。端から10センチあたりにナイフを当て、表皮に一筋の傷をグルッと入れる。傷を境に両側から引っ張り、長いほうの表皮だけをズルッとはがす。硬い表皮が砲身の役目をする。細い芯棒の先を少し削って長さを調節すると、仕込み刀のような「楠の実鉄砲」の出来上がりだ。胡椒よりひと回りほど大きい楠の実を、砲身の口をふさぐように詰め、刀をさやにおさめるように、楠の実を芯棒で先まで押し込む。これが最初の弾だ。芯棒を抜き、同じように砲身の口に実を詰める。これを芯棒で勢いよく押すと、砲身の中の空気が圧縮され、砲身の先に込めていた弾が圧縮された空気圧で外に弾き出される。“シュバーン!” という破裂音とともに弾が発射されるという寸法だ。2発、3発、と打つごとに香ばしい樹皮の香りが広がる。砲身も少年たちも次第に熱を帯びていくのだ。 原理は空気銃だ。軟弱な紙鉄砲とは異なり、「楠の実鉄砲」の湿った発射音は響きが違っていた。命中率もはるかによかった。中には、メジロを打ち落とした、と豪語する嘘つきもいた。破壊力もあった。ケガもしたが、そのうち直るので、子供にとっては大した問題ではなかった。とにかく、ナイフが一本あればよかった。 ■……昼寝する。 ■……「少し遅れます」とメールを出し、原稿を書く。 TOP↑ |
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3月16日(木) ジョブ管理の日 ■「逃した魚は大きい」 二日ほどたって、あんなにイメージどおりでリーズナブルな物件はなかったなあ、という思いがつのる。青山の新事務所の話だ。しかし、探せばあるもんだ。 ■今日はジョブ管理の日 受発注システムのメンテナンスは、お金に関わる話だから慎重になる。管理する物件が少ないので、さほどの負担も感じないし、使う頭の部分が違うので、けっこう楽しみでもある。毎年、決算期が近づいてくると、こんな仕事をしててもいいのかなあ、Web関連の動きを知っているのだから、その方面に新しい事業を展開するべきではないかなあ、などと企業家魂がうずき始めたりする。 ■日経PC21の連載記事の内容を詰める日 Webを見て回る。今回は日常からよく利用しているページなので、確認するくらいで目星はついた。 TOP↑ |
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3月17日(金) 妹が長崎から遊びにくる ■今日から妹が上京するので、仕事をどうしても一段落つけたかったのだが、いつの間にか今日という日が来てしまった。 ■夕方、玉川高島屋でスイーツを買い、妹を羽田まで迎えにいく。空いてれば40分ほどの距離なのだが、今日は二時間近くかかってしまった。連休前の金曜日の夕方じゃ、混むのは当たり前だ。首都高速でなく環状8号線を使ったほうが、まだ早く着いたかもしれない。東京を車で移動するには、時間的距離感を間違えてはいけない。最近は車で移動しても遅刻することは皆無。慣れてきたんだろう。 ■「娘たちを、はとバスツアーに連れて行きたい」 と、妹は言った。オノボリサンしたいというのだ。電話予約は24時間やっている。とはいえ、連休中である。期待するなよ、と電話をすると、日曜日の新宿発、一日コースに空きがあった。 長崎土産を広げるのも早々に、娘二人を風呂に入れ寝かしつけていたら、妹もそのまま寝入ってしまったようだ。 TOP↑ |
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3月18日(土) 子供の甲高い声に起こされ散歩する ■「物置きみたいなとこに寝かせてゴメンネ」
■女の子はおとなしい
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3月19日(日) はとバスツアーは新宿から… ■妹親子が「はとバスツアー」に行ってる間に少し仕事を進める。夜は「シャブシャブ」に連れて行く。みんな疲れて早々に就寝。 TOP↑ |
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3月20日(月) 妹帰る春分の日は強風 ■朝から妹に叱られた。 「お兄ちゃん、相手は子供なんだから、そんなムキにならんでも、よかやかね」
実は私は三男坊の末っ子。上京してきた妹というのは、正確には“いとこ”どおし。多産系の家族で親戚どおしの絆が強いため、三十人近くいる“いとこ”は、実の兄弟や姉妹と同じように育てられたのだ。というわけで、今でもお兄ちゃんやお姉ちゃんがたくさんいるのである。 ■午後、青山の紀ノ國屋で買出しした鈴木が、手早く料理を作ってくれ皆で食べる。料理上手は段取りと味付け。その塩梅は天性のものだと思う。 ■空港までの首都高は空いていたが、逆向きは渋滞していたので、帰りは横浜に向かい第三京浜を回る。ガラガラ。行きも帰りも40分弱。しかし、まだ三歳とはいえ、空港で別れ際にブッチューとされたのには、参りました。楽しい四日間でした。ありがとう。 TOP↑ |
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3月21日(火) 居直ってハーゲンダッツ5個 ■原稿の締め切りから逆算すると、通常ではとてもできそうにないのだが、この落ち着いた心持ちはいったい何なのだろう。居直った、ともいう。仕込んだネタを半分捨てて楽になる。今日も原稿はそっちのけで、連載記事の執筆にあたる。 ■捨てる方法を熟知しているイヤな自分をイジメて遊ぶのは終わり。 ■アイスクリームを5個食って眠くなる。気持ち悪い。 TOP↑ |
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3月22日(水) ネルドリップ復活に歓喜する今日この頃 ■ペーパーフィルタがなくなった 枯渇したペーパーフィルタに替わって、ネルドリップを使い始めた。京都に引越してしまった『カフェ・ド・ガウディ』のマスターが、数年かけて探し出した貴重なネル地を譲り受けている。マスターが手仕上げしてくれたネルドリップもまだ五個ほど残っているはずだ。しかし、ネルドリップで珈琲を入れるのは手間がかかるので、ちょっとご無沙汰していた。久々にネルドリップでたてた珈琲は、やはり素晴らしい。ペーパーフィルタではどうしても出ないコクと香りがある。柔らかくて、しかも深い。珈琲は豆なのだ、ときっと実感できるだろう。 ■しかし、ネルドリップはメンテナンスが問題 ネルを不用意に乾かしと、煮沸し直さねばならないのである。酸化した珈琲の細かい粒子が、乾いたネルの繊維に付着してしまうと、独特の臭みが出てしまうからだ。というわけで、ネルドリップを使い始めると、小さなボールにいつも水を張り、その中にネルを浸しておき、使うときに両手で押して水分を抜き、布巾で湿り気を取らねばならないのだ。白い布巾では汚れたように見えるので、茶色をした布巾を引き出しの奥から取り出して、キッチンの布巾掛けにつるしておかねばならない。面倒なことを、また始めてしまった。 ■珈琲ミルも重要だ うちでは「ナイスカット・ミル」という喫茶店仕様の同じ大きさの粒(つぶ)にカットするタイプを長年使っている。豆をつぶして粉(こな)にするタイプでは、熱が発生して酸化が進み、粉々に粉砕された小さな粒子がアクになり、せっかくの豆が台無しになる場合がある。電動でちとウルサイのが玉に傷。 ■雪崩れ現象に入る 進行中の書籍は6章構成。一日一章を書き上げるペースに入った。もっと速くなりそうな勢いだ。こうなる日をずっと待っていた。どうしてそんなペースで書けるのか、どうしていつもそんなペースで書けないのか、いつまでたっても分からない。 |
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3月23日(木) 珈琲ミルを開いて刃を替える ■本当に珈琲豆をカットしているのか、と疑問に思い ナイスカットミルを分解してみた。たまたま、替え刃を手に入れたので、この機会に新しい刃に交換することにしたのだ。浄水器や空気清浄機だとニ三年もしないうちに、替えのカートリッジが市場から消えてしまうのだが、十年前に購入したこのミルの場合、替え刃を手に入れることが今でも可能だ。 分解してみると、刃が分厚い二枚の円盤であることが分かった。刃が立っている片面どおしが向かい合っている。回転するらせん状の軸に沿って、豆がこの間に滑り混み、ゴリゴリと削られるのだ。古い刃には、豆が削られないまま二個もはさまっていた。いったい、いつ頃はさまったものか、どこで買った豆なのだろうか、ずっとここに貼り付いていたのか、衛生面は大丈夫か、などと疑問が広がる。まあ、いいや。ひっかかってた豆に変な臭みはないし。刃こぼれはなかったが、新しい刃を付け替えた。スイッチを入れると、削る音が心なしか軽やかに聞こえた。削られた豆のエッジも立っている気がした。 ■渋谷ジャンジャンがこの4月をもって閉館するので イッセイ尾形の一人芝居を観に行った。最前列で見上げる。七話ともすべて新作。今夜は背中で泣いている男の話が多く、こみ上げてくる可笑しさに肩を揺らせてクスクスと笑う。最初は笑いを迎えにいっていたしょうもない一部の観客も、イッセイのペースに少しずつ引き込まれいった。演じる側もできがよかったという感触があったようだ。 会場二時間前から並んでも、椅子には座れなかった。最前列の椅子席の前に、係員からもらった座布団を敷いて座るいつものパターン。映画もそうだが、観終わると首が痛い。結局、二十五年前に初めてジャンジャンで東京乾電池を観たときから、最前列が指定席であった。銀パリもジャンジャンも終わりだ。 開場前、待ち列に座りこんでPowerBookを広げ、QuarkXPressでDTPしているツワモノがいた。女性。知り合いだった。業界は狭い。 ■ラージ・マハールは五階
今夜は春の嵐。お彼岸前でないと「春一番」とは呼ばないらしい。気がかりなのは連載記事のその後。今回はレイアウトをあまり考えないでネタをぶん投げただけなのだ。苦労をおかけします。 |
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3月24日(金) カレーは薬、出直してきたウグイス ■なぜか背骨が痛む。椅子に座っていることがつらい。午前5時に起床する早寝早起き生活は順調で、体調は悪くないはずなのだが、微熱があるらしく顔が火照っている。逆らいがたい強烈な睡魔にも何度となく襲われ、椅子に座っていることが苦痛になった。 「今日は休め」 と、誰かに言われているような気がした。思い当たるのは、昨夜、渋谷で食べたカレーだ。私にとっては薬膳料理みたいなもの。この年になれば、体のどこかがやられていても不思議はない。薬膳で緊張感が緩み、症状が吹き出したに違いない。 今日は、逆らわないことにした。午後、夕方と断片的に眠る。心配した鈴木が、夕食に牡蠣鍋を作って食わせてくれた。背骨の痛みはほとんどない。血が滞ってしまった腐った三枚肉を、背中全体から削ぎ落としてしまったような爽快感さえある。 ■書斎には丸一日前の自分がいた。連載記事を担当している編集者から深夜のメールが入っていた。かなりてこずったはずだ。来週はフォローしなきゃ…。眠ろうとすれば、すぐにでも眠れそうだったが、午前3時から書籍の執筆にあたる。 ■そう言えば、朝、ウグイスが鳴いていた。今年二回目だ。鳥が近くで鳴くと、その声の力強さに驚く。今朝は書斎のすぐ横にある桜の木で鳴き始めた。文字どおり、ホーホケキョ! と鳴く。ウグイスが鳴くときは、周りの鳥たちも耳を澄ましているのか、一瞬静まりかえる。ウグイスはそれから多摩川テラスのほうへ流れ、静嘉堂の深い林の方へ飛び去ったようだ。 今年初めてウグイスの鳴き声を聴いたのは、数日前、急に暖かくなった日だった。今日鳴いていた鳥は、きっと数日前と同じ鳥だという気がした。あのときは、まだしっかり鳴けなかった。ホー、ホー、キョ、キョ、と、息切れしていたのか、練習中だったのかもしれない。「未熟者め」と発した言葉に、出直してきた気がした。 TOP↑ |
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3月25日(土) 春眠暁を覚えず ■やはり暗い時間には眠るべきだ。 体力が落ちているので、昼近くに集中力がすでに続かなくなった。NHK BSでは毎週土曜日、午前十時半から朝の連続ドラマを一週間分まとめて放送する。集中力が切れたので、テレビの前に座って「あすか」を一週間分みた。当たり前だが主役はいつも注目されている。演技も京都弁もうまいとは言いがたい竹内結子には、背中を後押しする何かを感じていた。運がある。しかし、最近気になることがある。目が死んでいる。役から離れている。以前のように冴えがない。明らかに感性が落ちている。きっと何かあったんだろう。回復してほしい。脇役でちょっと意地悪な雰囲気を出している佐藤仁美のほうが輝き始めている。 ■ここいらで和菓子といえば 成城『風月堂』に限る。ケーキも売っている。成城学園の駅前に2店舗、成城郵便局近く、神戸屋レストラン向かいに、工房と小さな売り場がある。スーパー石井で買物がてら和菓子を四つ買って帰る。横目に見ていたケーキの丈が心なしか高くなっている。数人いる売り子のうち三人は新人。高校生のバイトらしい。春休みが始まったばかりで慣れていない。妙にタカビーだったり、オドオドしたり……。見ていると面白い。ちゃんとした店で長く働いていると、いかにバイトとはいえ、接客する姿勢が変わってくる。今度のバイトはいつ頃から一皮むけるかな? ■体調は悪くないと思うのだが 睡眠薬を飲まされたみたいに一日中なぜか眠い。午後、二時間ほど仮眠をとる。体力勝負である。夜はステーキを焼いた。夜は早い時間に眠ってしまい、午前3時に起き出す。さすがに、もう眠れない。単行本の締め切りが押している。 |
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3月26日(日) 風邪を花粉症と間違えて ■正午、成城学園でT氏とお会いした。 彼は高校で数学を教えているベテラン教師。この春から高校では情報技術を教えなければならない。現場では混乱しないように、指針を明確にしようと必死らしい。どこまでできるのか、どこまでやろうとしているのか、今日、お話をしていただいた。教える項目自体は難しくないが、授業でどう展開していくのやら予想がつきにくい。相手は高校生である。それなりの知的好奇心を満たさねばならない。しかし、やはり初心者である。ある程度の基本的な操作は必要となる。文部省からの指針と、教師が独自に勉強会を繰り返して出してきた指針との間には、かなりの隔たりが現状ではある。フェーズというか、考え方というか、アプローチが違う。一時間弱、喫茶店でお話したが、とても興味深い内容だった。 ■実は風邪でダウン 成城からの帰宅途中、激しい胃痛と腹痛に襲われてしまった。外出する前から微熱があり不調だったのだが、帰宅したあとは安静にせざるを得なかった。花粉症による鼻水・鼻詰まりだとたかをくくっていたのが間違いだった。ラージ・マハールのインド料理で、体の中の毒素が吹き出し、症状が出たのだと感じている。 ■出汁の効いたウドンで生き返ったかもしれない
夜、大汗をかいた。この週末は寝るばかりで、仕事がはかどらず、かなりピンチ。しかし、やれば終わる、と言い聞かせ、元気に進めるしかないだろう。 TOP↑ |
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3月27日(月) また冷える。体調最悪でダメな日 ■朝、飯を炊く 大根の味噌汁に刺身。納豆に漬物、朝鮮海苔。けっこう美味い! 言うことナシ。そう言えば、骨粗しょう症の発生率と納豆の消費量は反比例するらしい。納豆食べると骨を溶かす物質の分泌が抑えられるそうだ。老化を防止するってことかいな? まだ、そんなことを意識するほどの歳ではないが、好きなもの食べて健康になれるほど幸せなこたあないだろう。 午前中、快調に飛ばしたのだが、午後に入るとガックリ。昨日買ってきた生ものが当たったのかもしれない。腹痛と発熱で何もできない。医者には絶対にかかりたくないので、安静にして体調が戻るのを待つ。巨人VSカブス戦に誘われていたが、それどころじゃなかった。夜はオジヤで薬を飲む。胃腸薬が臭くてとっても効きそう。 ■ラッキーだったのは 連載記事のレイアウトが上がってこなかったこと。明日には届くだろうから、体調を戻しておかねばならない。体調が落ちるのは、何かに気持ちが緩んだせいだ。今回は、執筆の先が見えてホッとした油断をつかれた気がする。 ■松井と高橋のホームラン見たぜ、と電話があった 長嶋が現役だった頃は巨人が大好きで、背番号3を少年野球のチームメイトと取り合ったが、その長嶋を山車にしている今の巨人は好きじゃない。負けたっていいから、野球らしい野球をしろよ。二十歳までピッチャーやったりショートストップを守ったり、キャッチャーマスクを被っていたから、少しは野球のことはわかるつもりだ。それにしても、松井が放つ弾丸ライナーのホームランは一見の価値がある。あの打球は奇跡だ。 TOP↑ |
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3月28日(火) 外出せずひたすら安静に過ごす ■塾生が熊手で道を掃く ザッ、ザッ、ザッ、と、竹箒(たけぼうき)が道を擦る。無名塾の塾生たちが交代で道を掃き清める早朝の儀式。グエルの合宿所にたまたま隣接しているその塾は、長い旅公演を終えた塾生たちの戻りを待ちわびていたようだ。また活気づき始めている。早朝6時。久しぶりに聞こえてきた熊手の音に書斎の窓をあけた。今朝はひとりで掃くのが下の方に見える。ザッ、ザザッ、ザザザッ、ザッ、ザッ…… いつもと違って不規則な掃き方をするやつだ。待てよ、ひょっとすると、今朝の儀式は気まぐれな気持ちの仕業かもしれない。だって、道に落ちている葉っぱはまだ少なく、毎朝、掃除するほどのこともないからだ。はたして、明日はどうだろう? こんな風景を部屋にこもりっきりで眺めていると、まるで療養生活でもしているような気分。冗談じゃない。確かに体調が不調ではあるが、ご隠居みたいに落ち着くにはまだ早いし、性に合わない。ウズウズする。 ■連載中のWindows Tips集が書籍になるという オンライン・マガジン「PC-Gaz!」の創刊以来、一年ちょっと連載してきたTips集が、近々ムックとして出版されるとは聞いていたが、時期は知らなかった。今日、担当の堀越氏より届いたメールで、5月末出版に向けて編集作業が佳境に入っていることがわかった。 ■熟年者に向けたパソコン活用情報 もう7年越しになる。Tak氏より「行きますよ!」との電話。そろそろまとめておくべき時期がきたようだ。 ■恐るべし後藤真希 仕事中に嫌な顔をしてるのを、メンバーは見たことがないという。 TOP↑ |
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3月29日(水) 摂氏二十度 ■気温が20℃を超えた 暖かい日は突然やってくる。冷たい日がぶり返しても、春の陽気に何度か汗ばんでしまうと、いつの間にか気持ちは夏に向かい、冬があったことを忘れていく。 平熱は36℃前後。周りの温度が20℃で暖かいと感じるのはなぜだろう? 単なる引き算で考えると、体から熱が発散するよりも、体内で燃焼する熱量が若干多いということか。それにしても、体を燃やし続けるってことは、ご苦労なことだ。いや、待てよ、寒いときは温まれば気持ちよくなり、暑いときは冷やすと気持ちよくなる。どんなときにも、気持ちよくなれるなんて、退屈してる暇もない。 朝の儀式が昨日始まったのかな、と思っていたが、今朝は誰も掃除に現れなかった。そのかわり、と言うわけではないが、コピー機を定期メンテナンスしに来た。いつものことだが、リコーさんは30分前に電話してきて、すぐにやってくる。 ■体調戻り、夜は宴 仕事を快調に進行できたのは久しぶり。そんなときに限って、誘惑の手が伸びてくる巡り合わせらしい。月刊誌を編集する者にとっては、手すきになる時期が毎月やってくる。新しい企画にアイデアを膨らませる楽しい時期でもある。今夜は、日経ClickからW氏とN氏が二子玉川園までやってきた。 「来月号の連載は休み。でもね、同じようなテーマの特集があるからやってよネ」 とのこと。もうひとり呑み助を加えたいつもの四人衆。ベトナム料理を喰らいながら、企画の主旨を確認した。“ジャンズ”で出される料理は、有機野菜たっぷりで、ヘルシーヘルシー。化学調味料を一切使わないさっぱりした薄味で人気抜群。盛り付けも洗練されている。決して豪華さはないが美味で安価。申し分なし。食器、テーブル、フロアー、トイレなど、どこをとっても清潔。ベトナム難民だったというダンナさんと奥様の二人で切り盛りしている。きっと育ちが良いに違いない。物腰や表情に品がある。午後九時にお開きにしたが、いつの間にか店は女性客で満杯だった。 そのままマノアに流れ、午前三時近くまで大討論会となる。いやあ、時間を忘れましたネ。もう、言いたい放題! 弘法大師と親鸞が決別した理由、伝説の記者列伝、編集者泣かせのライター諸氏、ゴールキーパー不在の某編集部、茶の湯にみる文化論、夢分析、Macintoshのルーツ、3と4の世界、翻訳の極意、文体…… 列記すると、高尚なことを話しているようで不思議。面白かったというよりは、喉が痛くなるほど楽しかった。 ■外出中に届いていたFAXがあった 日経PC21から連載記事のレイアウトが5頁分すべて送られてきていた。今回から精細モードでFAX送信してもらった。受信に要した時間は15分弱だが、細かい字もはっきりと判別できるので、勘違いが少なくなるだろう。続けてほしい。レイアウトに合わせて文章を明日中に仕上げることになっている。単行本の執筆を朝まで進めた。 TOP↑ |
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3月30日(木) ■二日連続で暖かい 久しぶりの徹夜作業で単行本はかなり進めることができたが、夕方を過ぎると連載記事を途中まで書いたところで集中力が切れた。テレビをつけると、「女医」(再放送)最終回をたまたま観ることとなった。「見所のあるものはイジメ抜く主義なんですよ」と、鹿賀丈史演じる教授は法廷で証言した。 「アイツ、もっとイジメテおけば良かったかな」 と、何人かの顔を思い浮かべた。 友人である遠山氏が翻訳した「複雑系」を睡眠薬代わりに使う。深く複雑な眠りの世界に落ちた。ホントかな? TOP↑ |
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3月31日(金) 油断大敵 ■素晴らしい出だしだったのだが 午前四時起床。一時間ほど半身浴をして大汗を流す。今日は草津の湯。風呂に浸りながら「エンデの遺言」を読む。友人の船津氏が半身欲を分かりやく解説している(→半身浴のすすめ)。毛穴から毒素が吹き出し、体全体を生き返った肌が包み込む。 サンダルウッドを炊き、湯を沸かし、珈琲ミルで豆を挽き、ネルドリップで1杯だけ、少し濃い目に珈琲をいれる。大柄なコップに浄水を入れ書斎に入いり、3台のコンピュータの電源を入れる。パスワードを入れて、ログオンすると、メールが自動的にチェックされる。こんなメールが来ていたら、何がなんでもいい記事を書こうという気になる。締め切りは本当は昨日だった。 グエル・川口様 さて、夜が明けてきたようだ。たっぷりと眠って今朝は快調である。この調子は、数時間は続いたのだが… ■マネーゲームの勝ち組が人生の勝利者なのだろうか? 成功を金銭の額に置き換えて考える「アメリカン・ドリーム」の短絡的な考え方はどうにかならんのだろうか? “「血塗れのバーツ」と呼ばれるに至る通貨戦争が過ぎ去ったあと、勤勉な国民の永年の蓄積と日々の営みの場は打ち砕かれた”(「エンデの遺言」) ■なぜそういう行動に出るのかなあ? 午後、連載の目処が立ったところで、どうしても本棚を移動したくなった。玄関から居間に抜ける廊下に大振りの本棚が置いてある。木製のお気に入りで、後から2本(というのかな?)追加して購入し、書庫と化した寝室に置いてある。廊下から書斎に持ってこようというのだ。 本棚を移動するには、現在中に入っている書籍をまず棚から下ろすが、ことは簡単には済まない。本を下ろしていると、探していてどうしても見つからなかった本を見つけてしまったり、不要と思われる本を手にとり、どうしたものかと思案してしまう。しかし、今日はなんとかその吟味したくなる誘惑を抑えることができた。原稿が押している現実を忘れていないからからだ。我ながら偉いと思う。しかし、である。本棚を移動した後も問題なのだ。どの本をどの棚に置こうか、と物色していると、これから一体、私は何をしたいんだろう、などという哲学的な問答を始めてしまったのである。ああ、馬鹿だなあ、後にしろよ、そんなことと理性ではよく理解できていても、いったん火が点いてしまうとなかなか消えないものだ。 考えていると頭が痛くなってしまい、ちょっとベッドに横になる。目が覚めたときは、もう深夜であった。こうして、連載の記事を送れないまま週末に突入し、整理されないままの書籍が書斎の床を占領しているのである。快調な出だしで始まった一日だったが、ちょっとした気の緩みで台無しである。ああ、情けない。 TOP↑ |