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最終更新日: 2004年4月10日

■テレサ学院は、百年ほど前に建造されたレンガ造りの建物。1888年に着工され、二年後の1890年に完成。限られた予算と納期で改築された修道院だ。
■テレサ学院は閑静な山の手に建っている。バルセロナ中心街にある「カサ・ミラ」前で車に乗り、北へ10分ほど走った「カサ・ビセンス」あたりで左に折れ、5分ほど走ると箱型の建物が見える。ちなみに、そのまま5分ほど走ると「グエル別邸」のある大学キャンパスが広がる。少し戻って「カサ・ビセンス」あたりで右へ曲がった先の丘陵地に見えるのは、「グエル公園」だ。
■限られた予算と納期であっても、機能的な構造を目指すのではなく、美しい建築物を造るために、ガウディは合理的な構造を目指した。安価な材料と容易な工法を駆使し、放物線と螺旋をモチーフにした表現によって、室内に注ぐ光のひだを演出した。
■レンガ造り建築は、スペインの民家建築を代表する建築工法である。

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Collegi de les Teresianes
テレサ学院(廊下)
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写真撮影日は2002年10月19日
参考文献は「ガウディ建築のルーツ」鳥居徳敏著、鹿島出版会、2001.7.20

■ガウディの処女作である「カサ・ビセンス」はテレサ学院より五年前に着工され、テレサ学院を着工した年に完成した。ガウディは「カサ・ビセンス」を建造するにあたって、伝統的な建築様式を独自の表現様式へ引き寄せるために、実験を繰り返したのだった。
■そうしたガウディの試みは、テレサ学院を合理主義ネオ・ムデハル様式による建造物として完成させた。ネオ・ムデハル様式とは新しいムデハル様式という意味。ムデハル様式とは、キリスト教徒たちがイスラム建築を自分たちの生活空間として利用するために改造した建築様式。キリスト教建築をイスラムの材料や技術で実現した様式ともいえる。
■ネオ・ムデハル様式の特徴は、外壁は野石積み、土壁、レンガ造りの組み合わせ。手すり壁の部分はレンガの透かし積みに色タイルの組み合わせ。
■薄くて固いレンガを交互につなぎあわせた持ち送り方式は、曲線を容易に表現するだけでなく堅牢であった。


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